2・3年生から入会している子どもは5・6年生になると「デッサン力・描写力」に磨きがかかります。
それは下描きの「線」を見ればわかります。

今回の読書感想画下描きにその「デッサン力」を見てみましょう。

5年さえちゃん 
5年さえちゃん

 さえちゃんは1年生からの入会、4年生から「線」が変わりました。
馬の表現、1本の線で見事なバランスで的確に描写できています。

4年かほちゃん 

かほちゃんは2年生からの入会、複数の線で1本を表現しています。
1本線からから脱しようとしているのです。
この表現方法で十分です。
中学生でもなかなかできませんから。
さらに進むと5年さえちゃんのような「1本線」になることもあります。

6年こうくん 
5年みづきちゃん 
5年まおちゃん、
6年ともひとくん

この4人はすでに「デッサン力」がついていることが「線」を見ることでわかります。

なぜ「デッサン力」がつくのか

課題1回目に短時間の下描きを2枚描かせます。
約30分で1枚を描き終わらなくてはなりません。
これを課題毎にします。年間10課題として少なくとも画用紙20枚の下描きをします。
さらに翌週の発表会では大きく修正することや3枚目・4枚目を描くこともあります。
これらの下描きで自然と「デッサン力」がつくのです。

4年えいじくん

では「デッサン力・表現力」がつけばいいのか、という問題。
そうとばかりはいえません。
4年えいじくんは今年6月に入会したばかりです。まだ2ヶ月です。
この「1本線」は低学年や入会したばかり子どもに見られます。
この1本線が「ぎこちない線」でとてもいいのです。
ニワトリの「ぎこちない線」はデッサン力がついた子どもには引くことができない線です。

高学年の絵のうまい子が評価されずこのような「ぎこちない線」の子どもが、時として高く評価されるのは「個性」「その子にしか引けない線」だからです。
私もデッサン力のある線より「ぎこちない線」に多くの魅力を感じます。

では、「デッサン力・表現力」のある子どもは個性的で魅力的な絵が描けないのかという問題
そんなことはありません。
デッサン力を活かして「視点」を変え、「構図」に磨きをかけることで「個性的」な作品がたくさんうまれます。

上のデッサン力ある4人の作品を見てください。
4年まおちゃんの作品は「構図」がとてもいいです。
他の3人は安定感はありますが、水平線と垂直線を強く感じる作品です。
対してまおちゃん作品は対角線を強く感じます。
大きな顔と小さなお尻に奥行きと遠近もでています。
構図として見事な作品になっています。

さらに、一番上の5年さえちゃん作品はどうでしょう。
見事なデッサン力ですが、水平線ばかり感じて面白みが足りません。
構図にあまり魅力を感じることはできません。
水平線を壊すものがほしいです。